扠て都心を隔てること僅か八〇km 時間にして一時間半
この箱根宮の下の地に かくも静寂なる深山幽谷の地が
未だに存在するとは奇跡に近し
樹々の一本々々は変化に富み もみじを中心に ひめしやら
ほうの木等 落葉樹が 多数生育し 殊に 春の若葉の頃の
目の覚めるが如き新緑 夏の深緑 秋の紅葉は
見事というほかはない
又つゝじ 梅 しゃが 山百合 紫陽花 岩タバコ 乙切草
そして秋海棠が群生し 山野草が豊富に自然の季節を
織り成している
大正の始め 当時の大富豪 郷誠之助男爵により開苑され
天下の険を よくとり入れた京の名庭師による庭造り
入口より自然館に至る えんえんたる 見事な石畳の階段
庭園内の散策路を 千仞の谷迄歩くこと約一〇分
そこは滔々たる早川の流れと渓流釣りに もってこいの
魚影の濃い水遊場となっている
一周三〇分の箱根に残る 数少ない自然遊歩道である
是非ゆっくりと散策されることを御薦めしたい
この地には又 滾々と湧き出る温泉が絶え間なく溢れ
野趣豊かな 野天風呂となって今日がある
正に この林は現代の別天地
"楽しく遊び長寿する郷" である
中に在る館は 緑の樹々に囲まれた緑の館 自然館 である
朝の小鳥の囀り 渓谷のせゝらぎ 夕べの樹々のざわめきの
中にもう一度自然と一体となった 自分自身を
見付けてみよう そして野天の風呂に裸身の己を浸しきると
心身爽快なることこの上なく 長寿すること間違いなし
裸の自分を見出そう



